おとしもの
無くしたものが見つからない
どこで落としたのだろう
あたりを見渡しても見つからない
周りのみんなが持っているものなのに
ぼくは持っていないんだ
どうしてだろう
教えてよ
当たり前が当たり前じゃないことを
教えてよ
あなたがぼくを否定するのなら
ぼくが当たり前になれる魔法をかけてよ
あなたが言う当たり前が本当に当たり前なのなら
無くしたものが見つからない
そう思っていたけれど
無くしていなかったようだ
そもそもぼくは持っていなかったようだ
あなたがぼくを否定するのなら
どこで拾えるか教えてよ
ぼくが当たり前になる
そんなぼくの落とし物を
あなたが言う
人として生きる当たり前の落とし物を
「明日も世界はいつものように回り続ける」
自分のものさしだけで世界を測ろうとする
ゼロかイチしかない世界なのか
世界はあなただけのものではない
自分が正解と思うことしか正解としか思わない
白か黒しかない世界なのか
世界はあなただけのものではない
声高らかに放った言葉は
時にはナイフになって
あなたが見えないダレカを突き刺す
声高らかに放った言葉は
時にはナイフになって
あなたが見えないダレカを突き刺す
否定することは簡単だけど
否定したって世界は変わらない
あなたが否定したつもりでも
明日も世界はいつものように回り続ける
真正面に見据えた時の呼吸の強さが
あぁ
ぼくが世界に留まる理由がわからなくたって
世界は変わらず進んでいって
あぁ
ぼくがこの世界から要らないんじゃないかって
ぼく自身を思い込ませても
世界は変わらず進んでいって
蹲ったって
風は変わらず吹き付けて
俯いたって
雨は変わらず打ち付けて
世界が変わる気がないのであれば
ならば、
ぼくは世界と対峙する
ならば、
ぼくは世界と対峙する
正解なんてない世界線
決めるのはぼくだ
ぼくでいいんだ
ピリオドを打つのを決めるのはぼくだ
泣いたって
喚いたって
差し伸べる光なんてないって
気付いたときが
世界と対峙する瞬間だ
夜の匂いが全てを包んでも
朝焼けに姿を曝してしまえばそれでいい
何もかも消えていくから
残されるのは
世界と対峙する僕の姿だから。
何時かわからないふと目が覚めた夜でも朝でもない瞬間
抱きしめる力はどのくらいがいいかな
なんて
変なことを質問した
ありったけがいい
そうつぶやいた
掠れた声に
ああ、そうかい
と、返事をする代わりに
抱きしめた
もっともっと
そう言っているかのように
漏れる呼吸に
もっともっと
抱きしめる
答えなんてない
こんな抱きしめることの強さにだって
答えがないんだから
だったら、今、きみが思い悩むことだって
そこまで深く潜らなくてもいいんだよ
薄明かり
揺れる窓
透き通った空
触れる
触れた
そばでそっと
もう少し世界を広げて
もっともっと
強く
抱きしめてやった。